【開催概要】
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[開催日]
令和元年12月19日(木)・20日(金)
[会場]
いわて県民情報交流センター アイーナ
[募集定員]
300名(一般250名/福祉職従事者40名/学生・新任者10名)
[参加人数]
271名(一般140名/福祉職従事者36名/新任者12名/出演者37名/関係者46名)
[開催委員会構成法人]
社会福祉法人青森県すこやか福祉事業団・NPO法人夢・社会福祉法人秋田県社会福祉事業団・社会福祉法人なのはな会・社会福祉法人盛岡市社会福祉事業団・NPO法人のびっこ寮育センター・社会福祉法人光林会・社会福祉法人カナンの園・社会福祉法人岩手県社会福祉事業団
【レポート】
[共通プログラム]
◎表現活動:オープニングとして、知的障がいのある方として初めて花柳流の名取試験に合格された花柳光明子さんの流れるような美しい所作の日本舞踊と、お母様の共生社会を願うお話があり、会場から大きな拍手が起こった。次に、NPO法人のびっこ寮育センターの「のびっこ太鼓」演奏では、横沢高徳参議院議員や玉木幸則さんの飛び入り参加もあり、喜びに満ちたバチさばきと太鼓の響きで会場全体が温かい空気で満たされた。次に社会福祉法人光林会の「ルンビニー百姓踊り」のユーモラスで活力ある稲作作業の表現に、大きな拍手が起こった。
◎基調講演:実行委員会委員でNPO法人抱樸(ほうぼく)理事長の奥田知志さんから「いのちに意味がある~私たちは何を大切にしてきたのか~」のテーマで講演があり、「一人の命は地球より重い」という言葉が継承されなかった意味のお話のあと、最近起きた二つの事件(川崎・練馬)の背景には、「極端な自己責任論社会」があり、「迷惑は悪」という考えが孤立を助長している、という指摘があった。“分断社会”ではなく、多様な人たちがつながる共生社会を“大変であるが”一緒に築きあげていこう、いのちに意味がある!という第一の言葉で共生社会を語ろう、という提言があった。そして受講者に向けて、やまゆり園事件の犯人が世の中のために良いことをしたという確信の基準にある「生産性」について、「生産性の圧力」の元に生きている同じ「時代の子」として、事件の容疑者に対して、あなたは何を語るのか?という宿題が出された。
◎映像&トーク:NHKスペシャル第6集「この子らを世の光に」(2007年3月放送)の上映と制作者の牧野望チーフプロデューサーのトークにより糸賀一雄氏・池田太郎氏・田村一二氏の実践・思想と現代に受け継ぐ取り組みが紹介された。縦の発達だけでなく横の発達に気がついたのが糸賀さんで、気がつかなかったのが相模原事件の犯人。影響を与える意味のある縦と横がバランスよく影響しあうのが共生社会、とのお話があった。
[研修プログラム]
◎中堅以上の福祉職従事者を対象とする語り部養成研修には、36人が参加した。8テーブルに分かれ、各テーブルに1名ずつ配置のファシリテーターと経験を積んだ全国各地からの助言者がサポートし、とんがるちから研究所の2名がワークシートを用いてテンポよく進行した。最初に、アイスブレイクによるメンバーの関係づくりがあり、初日は、基調講演などを見て感じたこと、共生社会とは何かなどの個人ワークとグループでの共有についての発表がグループごとに行われた。
発表のあと、これまでのブロックでのフォーラムでファシリテーターを務め経験を積んだ助言者の社会福祉法人清心会の岡部浩之さん、社会福祉法人昴の丹羽彩文さん、NPO法人脳損傷友の会高知理事長の片岡保憲さんから講評があり、また、WGリーダーで全育連統括の田中正博さんからは、やまゆり園事件発生直後に全育連が発した声明やそれへのネガティブな反応について、配布したテキスト資料を事前に目を通しておくように、という宿題が出された。最後に、実行委員会座長代理で糸賀財団の副理事長の久保厚子さんから、親の会でも声明や匿名報道に賛否両論があったこと、どの人にも心の奥底に差別意識があること、皆さんの支援は価値あるものであり、生き生きとして光り輝いて仕事をしていただきたい、というエールがあり、初日の幕を閉じた。
二日目は、やまゆり園事件をどう受け止めるのか、全育連の声明への反応で各自が思うところの共有。問いを各自が考えその問いにグループメンバーが答え(語りかけ)を考える。職場で取り組む基本理念普及のアクションプランを各自が考え、グループでブラッシュアップする。これらのセッションが行われた。
最終に、助言者の岡部さんから、各人が作成したアクションプランに研修のキモである「問いかけ・語りかけ」がプランに盛り込まれている点は素晴らしい。言語化し語りかけていくという研修の成果を持ち帰って、職場や地域で実践者としてアクションを起こすことを期待する、という講評があり、また、丹羽さんからは、研修を受ければ受けるほど「共生社会とは何だろう」というモヤモヤ感が増したと思う。カイロスの時間の概念で、支援の結果を「必ずその時がいつか来る、いつか咲く時が来る」と待ち続けられることが福祉の専門性。共生社会を考える上での視点や立ち位置について“自覚者が責任者”という決め言葉で講評があった。
◎学生・新任者グループは、社会福祉法人に就職の決まった学生と、既に支援の仕事をしている社会人1~3年目が集まり、秋田、岩手、山形の東北組だけでなく、埼玉からも2名が参加し、過去最多の12名となった。「バリバラ」レギュラーコメンテーターの玉木幸則さんが進行と助言を行い、滋賀の救護施設で働く新採2年目の御代田さんがサポートした。初日は自己紹介。前半のプログラムへの疑問や感想とともに、「今熱中していること」をシェアしながら、和やかな雰囲気で始まった。ルンビニー百姓踊りに出演した人もおり、支援と表現の関係のあり方について、特に議論が盛り上がった。
二日目は、テーブルにお菓子やジュースを並べて、肩の力を抜いてスタート。3つに分けたグループトーク形式で、「福祉の仕事をしている」と言うと「すごいね…」と返されてしまう、その違和感を出発点に、「福祉の仕事とは何か」をテーマに議論した。「支援とはやってあげることではなく、生活を共にすること」「現場では確かに大変なこともある、でもそこから思考が始まることだってある」といろいろな思いのこもった意見が出た。引き続いて「障害とは何か?」を議論。その後玉木さんから、「バリバラ」の紹介や幼少期のエピソードを通じて、共生社会について講義を受け、最後には、この2日間を経て自分に起きた感情や考えの変化について、ゆっくり言葉を紡いでもらいながらシェアした。
最後に、地元開催委員会の佐々木信委員長(岩手県社会福祉事業団理事長)から閉会の挨拶があり、全てのプログラムが終了した。